「わたしは時間を描いている」 横山裕一 ネオ漫画の全記録(産経新聞)

 「ネオ漫画」と呼ばれセリフがほとんどない不思議な世界を描く漫画家、横山裕一(43)。現代アーティストとしても活動し、ジャンルを超えて高い評価を得ている。いま川崎市市民ミュージアムで漫画の原画や絵画などを展示した展覧会が開かれている。作品や資料など700点以上を展示した横山ワールドは圧巻だ。(渋沢和彦)

 とにかく横山の描く漫画は個性的だ。なにしろセリフがほとんどない。あるのは「ガンガン」とか「ドドド」「ガリガリ」など擬声語のカタカナで、それがデカデカとグラフィカルに描かれる。

 自身が「わたしは時間を描いている」と語っているように、時間の経過とともに刻々と移り変わる風景を丁寧に描き、文章で理解させるのではなく、絵で想像させる。パソコンなど使うことはなく、すべてが手作業。直線や曲線は定規を使い丁寧に描く。一瞬の動きをデフォルメし、単純化した形態で描き、躍動感に満ちている。まったく新しい漫画といっていいだろう。まさに「ネオ漫画」といわれるゆえんだ。

 川崎市市民ミュージアムはその才能を高く評価し、平成20年度に漫画原画の一部を収集するとともに、展覧会の準備を始めた。同ミュージアムの金沢韻(こだま)学芸員は「一瞬一瞬の時間を味わい尽くしているよう。漫画とかアートとかデザインとかいった領域を自然に超える力がある」と、その魅力を分析する。

 横山は昭和42年、宮崎県生まれ。武蔵野美術大学油絵科卒。平成7年から漫画を描き始めた。同時に制作していた絵画でも才能を発揮。もともとは画家を目指していたこともあり現代美術のギャラリーで発表するほど本格派だ。

 漫画はきっちりと描いているのに絵画は奔放。水性ペンキなどを主に使い、ピンク、イエロー、ブルーなどカラフルな色彩でリズミカルに描かれる。たとえモチーフが倉庫や民家やアパートのあるごちゃごちゃした風景であってもスタイリッシュで軽やかに仕上げられる。構図も大胆で、画面上に人物がいても頭部は描かれなかったりする。展示室の壁面にはそうした横幅が2メートルほどの大作が並べられ、モノクロームの漫画の原画とは対照的で鮮烈。展示会場に足を踏み込めば横山ワールドに引き込まれ、圧倒されるだろう。

 展覧会は6月20日まで(月曜休)。展覧会に合わせ新作画集「ベビーブームファイナル」(Akio Nagasawa Publishing)も発売されている。6月4日から7月14日まで東京・新富のアラタニウラノでも個展が予定されている。

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